産業技術大学院大学 「人間中心デザイン」の講義メモ
平成30年度 人間中心デザイン
「平成30年度 人間中心デザイン」の記事一覧です。
随時加筆修正していきます
2章 基礎知識
2018/10/11(木) 6,7限
講師 : 安藤昌也先生
2.1 UXデザインの要素と関係性
産業デザインとしてのUXデザイン
- UX
ユーザーの主観的なもの
↑↓ - UXデザイン
ユーザーの体験を計画すること
↑↓
その仕組みを作ること
3つの主体
- ユーザー
- 製品・サービス
- ビジネス
UXデザインを実践するためのインプット
- 現状把握
- 既存のUXや利用文脈
- テーマやターゲット層を手がかりに行う
- 製品・市場
- 既存のUXや利用文脈
- ビジネス戦略の把握
- 知識・理論
- 知識
- 人間中心デザインプロセス
- 認知工学
- ノウハウ
- ガイドライン
- 知識
UXデザインのアウトプット
- 実現する体験価値の設定
- 理想のUXの利用文脈の想定
- 理想のUZを実現する製品・サービスの制作
- UXを実現する製品・サービスを提供する仕組みの設計
2.2 ユーザー体験
- 例 :駅の券売機のユーザーとは?
- 一次ユーザー
一般客 - 二次ユーザー
メンテナンスする絵駅員
故障対応するメーカーサポート
- 一次ユーザー
ハッセンツァールモデル [P.51]
- UXを学ぶ上での、スタートにあるべき大前提
UXをとらえる共通の視点
- 主観的評価
ユーザーが体験を通して - 消費者とユーザーの連続性
- 時間的・長期的視点
利用意欲
利用意欲パターンの仮設マトリクス [P.61]
ユーザーの利用意欲を4つに分類したもの
研究によって立証されているからOK!
相関性が0.6くらいある(心理学的には同じものとされる)
主観的ユーザビリティーの観点だと、不満足 が一番の指標となる
対象の製品に対して各郡の評価を実施してみる
- SEPIA法
インタビュー対象者のサンプリングが難しく、大変なので、これを使うとよい
対象ユーザーをSEPIAで分類して、それぞれに対して必要項目をインタビューすると効果的- マニアユーザー
- なぜマニアになったのかの経緯を明らかにすると新たなことが見えてくるかも
- 期待先行ユーザー
- わからないことを受け入れている
- インタビューするとみんな「困っていません」という
- 冷静・合理的ユーザー
- 他人事
- 「★(聞き取れなかったからあとでビデオ)」を聞くとよいと思う
- マニアユーザー
体験価値
- ニーズ
ユーザー「~が欲しい / ~したい」 - 本質的ニーズ
“なぜ~したいのか” - 体験価値
体験を通して得られる本質的ニーズで求めている価値 体験価値は誰かにその製品やサービスの良さを伝えるときに自然に話される内容となる
- “ペルソナがそれを使ったときに何というか”をイメージして、手段を決定する
- 製品やサービスが目指すべき目標 =
製品やサービスを使い続けたときにどんな思いを持つか
- UXデザインは、自分の体験価値を説明できない人はできるものではない
→ 自分の体験を言語化することに慣れる必要がある [P.240]- 切り口によって内容が全く変わることを実感する
- 抽象度の高い価値に着目し、自分でも説明できるようになるべき
2.3 利用文脈(状況)
- 文脈効果
- 一部情報が欠落していても、ある刺激以外の文脈情報が、その刺激の近くを補佐し、理解できる
- 利用文脈(=シーン)のとらえ方
- 基本
どんな人が何をしようとしているのかを抑える - 例
- HMIの5原則 [P.69]
- 行為のインタフェース [P.70]
- “行為のバグを修正する”考え方
- AppleのCMの戦略
- 際立つ状況(=利用文脈)を明確にする
「写真をたくさん撮る季節」 - 体験価値
「見せたい写真を対象者にだけ簡単にシェアできる」- 既存のiPhoneユーザーは使い方を学べる (=インタラクションシナリオ)
- 直観を潜在的に生成する
- 非iPhoneユーザーは利用する価値を学べる (=バリューシナリオ)
- 既存のiPhoneユーザーは使い方を学べる (=インタラクションシナリオ)
- 際立つ状況(=利用文脈)を明確にする
- 基本
ISO9241-11の定義 [P.67]
- 使いやすさの度合い = 特定の利用状況の下で操作した時 の結果 [P.68]
- 利用状況によって利用の結果は変わるため
- ユーザーがどういう状況に置かれているかをまず理解することが重要
2.4 ユーザビリティ、利用品質
ある状況下での利用における満足度の度合い
– 有効さ
– 効率
– 満足度
不快さのないこと = 不満足度が低いこと
→ 最低限使える状況
- 利用状況が違うと使いやすさが変わる
- 代表的な利用状況を正しく定義することが重要
- 例
- 手を怪我したらお箸が大変
- キャリーケース持っていると階段大変
- アンケート調査するときは研究で確立された評価項目を使用する [P.254]
- SUS [P.256]
※ ISO人間工学系の規格がソフトウェア系に寄ってきているので近々変わるだろう
目標達成と人工物
人の目標は階層的に存在する
- 例 : カーナビ
- 製品の目標
「目的地まで正しく導く」← 範囲が狭い - ユーザーの目標
「いつも忙しくて時間が取れない(:目標)から(手段:)子供と一緒の時間を楽しみたい(:目標)から(手段:)車で海に行きたい」 ← 本質的ニーズ
- 製品の目標
- ユーザーの本質的ニーズの最下層と製品の目的の最上位が合致したところを製品の目標を定義する
「車で海までスムーズに移動したい」 システムの受容性
ユーザーがシステムを受け入れるかどうか
その一部の要素がユーザビリティ
2.5 人間中心デザインプロセス [P.83]
評価
2パターンある。作りこみのカギ。
- 仕様策定ためのユーザー評価(プロトタイプ)
「ユーザー中心の評価」 = ユーザー”視点”で構わない
→ “サイクルを回すこと”が重要のため - 成果物のレベルの評価
3つの側面
- 形成的評価
- 改善のための問題発見
- 総括的評価
- 製品の品質レベル評価
- 状況的評価 (situated = 状況に埋め込まれた)
- 実環境での使われ方の把握
- 長期的モニタリングも重要 [P.91]
- 形成的評価
人間中心設計
- トライを短期的に繰り返すことで、真にニーズに合致したものの製品を実現する(D.A.ノーマン)
2.8 UXデザイン
UXデザインプロセス
UXデザインがほかのデザインプロセスと異なる点
- ユーザー体験のモデル化と体験価値の探索の段階で体験価値に着目する
- 体験価値を定めて、それを中心にプロセスを進めていく
- ビジネス目標によって、提供する体験価値が変わる[P.21]
- 体験価値を定めて、それを中心にプロセスを進めていく
- “実現するユーザー体験と利用文脈の視覚化”を行う
- 発想したアイデアが実現するUXとその利用文脈がどのようなものかを視覚化する
- 早い段階でUXを評価可能にし、具体的な方向性を明確にできる
- 機能に着目しただけだと理想のユーザー体験が実現できないことがある
- 発想したアイデアが実現するUXとその利用文脈がどのようなものかを視覚化する
- “プロトタイプの反復による製品・サービスの詳細化”
UXデザインを始めるための前提
- 設計の目標として予めユーザー体験を設定する
- 製品・サービスは、ユーザー体験を実現する手段、あるいはユーザー体験の一部としてとらえる
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